お問い合わせはこちら

「脱ひきこもり」お役立ちコラム

新年度で重要な2つの視点

松隈 信一郎(医学博士)

福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中より従来のカウンセリングではない、ポジティブサイコロジーコーチング(PPC)による不登校・ひきこもり支援の可能性を見出す。その後、一般社団法人ストレングス協会を設立。10代、20代の若者に特化した訪問支援と教員・保護者へのPPCの教育を通して、世界中の青少年が希望をもてる社会の実現に向けて活動を続ける。著書に『「強み」の見出し方』(「月刊精神科」2017年7月号)等。

 

早いもので2019年も始まって、あっという間に新年度ですね。この3ヶ月はいかがでしたでしょうか?また4月から始まる2019年度はどのような一年になるでしょうか。10代であれば周りが進学・進級する中、遅れをとってしまっていることに、また20代であれば就職先が決まってないことや同期が新人から中堅へと移っていくキャリアに焦りや劣等感を感じるお子様もいらっしゃるかもれません。そのようなお子様に対して、2つの視点をもって是非接して欲しいなと思います。

 

1つ目は「人生は長い」という視点。日本という国は上下関係を重んじるカルチャーがあるため、どうも年齢で区切られてしまい、たった1年早く生まれただけで敬語や態度を変えなければならないという社会規範があります。そのため、多くの教育機関の中にいると、たった1年異なるだけですごい劣等感を感じさせられる構造になっています。他の国で暮らした経験がないご家庭であれば、それが「当たり前」であって、その構造の異常さに気づけないのは当然のことです。この「異常さ」にお子様ご自身も親御様も振り回されて、切実に窮地に追いやられることが本当に多いのです。ネガティブな感情は(脇目もふらずに逃げられるように)視野を狭くするという特性があるため、どうしても今のことに目が奪われてしまいがちになるのは、人間である以上、また日本で生きている以上、仕方ないことなのかもしれません。ところが、社会に出た後に気づかれると思いますが1年、2年の違いなんて誤差であり、さらに少子化に伴い、都心部でも人材確保に頭を悩ます人事担当の方ともよくお会いします。周囲の焦りから前向きな行動は促進されませんので、元不登校やひきこもりでも社会に出て、働いている人の情報を集めて、狭まった視野を拡げる方向に注力して頂きたいなと思います。

 

2つ目の視点は、一方、冷静にお子様を駆り立てるモチベーションは何かを考えるという視点です。どうしても「不登校・ひきこもり」の状態であると、「何が原因で次に踏み出せないのか?」ばかりを考えてしまいがちですが、人を庭で例えるとそれは雑草を抜く行為で、いくら雑草を抜いたとしても、「〇〇をやりたい」という花が育っていなければ行動を起こすことが困難です。もし矯正的に行動を起こせたとしても、長くは続かないことが往々にして考えられます。そのため、お子様がこれまで何にハマっていたものは何か振り返って頂きたいのです。ゲームでもどんなゲームが好きなのか、なぜそのゲームが好きなのか、アニメでもなぜそのキャラクターが推しなのか、丁寧に聴いていく中で共通項を見出すことができます。そこにお子様の原動力の原石があります。「いつもゲームしてばかり」と一括りに「ゲーム」「アニメ」とするのではなく、丁寧に具体的に聞いてほしいと思います。彼らの原動力を見つけることから始めることは非常に重要だと経験上、実感しています。もし、それが難しければ、ぜひお話させてください。自分が好きなものについての話なので、本来であれば話しやすいものです。しかし、そのような話を聴こうとしても「ウザい」等と応え、話してくれない場合、お子様の中で「どうせ言っても・・・」というフレーズが頭の中に浮かんでいると思います。もし、話してくれない場合は、お子様の問題ではなく、お子様と親御様の関係性の問題だと私は判断します。まずはお子様の好きな話が一緒にできるかどうかで次のステップが変わってきます。もしできる関係であれば、ぜひ丁寧に聴いて、ハマっているものの共通項を探してください。もしできない関係であれば、保護者支援を通して、お子様との対話の仕方を学んでいくことも必要なことかもしれません。

 

ストレングス協会はお子様の「強み」を見出すツールやインタビューを通して、そのモチベーションを特定します。また、コーチングのスキルを親御様に教えることでその関係性にもアプローチしていきます。次回、共通項を見つけた場合、どうするのかをお話したいと思いますが、とてもそんな会話ができる関係性ではない場合、ひきこもりの長期化を避けるために、早めにご連絡を頂ければと思います。