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「脱ひきこもり」お役立ちコラム

対象者「アンダー30(10代・20代対象)」の意図は?

松隈 信一郎(医学博士・公認心理師)

福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中より従来のカウンセリングではない、ポジティブサイコロジーによる不登校・ひきこもり支援の可能性を見出す。その後、一般社団法人ストレングス協会を設立。10代、20代の若者に特化した訪問支援と教員・保護者への心理教育を通して、世界中の青少年が希望をもてる社会の実現に向けて活動を続ける。著書に『「強み」の見出し方』(「月刊精神科」2017年7月号)等。

 

なぜ対象者はアンダー30(10代・20代対象)?

  • 強みを用いて「自己を再定義」する支援アプローチであるため
  • ひきこもりの高齢化を「未然に」防ぐ支援アプローチであるため

 

一般社団法人ストレングス協会は訪問支援の対象者をアプローチの理論的な背景を考慮して、アンダー30(10代・20代)対象とさせて頂いております。

 

自己を再定義

人は誰しもが、経験を重ねて自らの見聞を拡げていく中で成長していくものだと思います。しかし、その一方でそれらの経験が原因となり、歪んだフィルターを通して社会や世界を捉えてしまうこともあります。ひとつ確実に言えることは、人は皆様々な経験を重ねる中で、自らの考え方や価値観、世界観を強固なものにしていくということです。

 

ストレングス協会の支援アプローチは、まさにその世界観や価値観を変えていく、すなわち、「自己を再定義する」ことによって、不登校やひきこもりの若者に対して、支援をしています。これまで「自分はダメだ」と自分のできないところや嫌なところばかりを見て、「これが自分なんだ」という考え方をしてしまっている方に、「強み」という切り口から新たに自分自身の考え方や価値観、世界観を捉えていく議論を重ねていく中で、これまでネガティブな方向にのみ偏っていた自己を再定義していきます。このように自分の捉え方を変えることが少しずつできれば、ひきこもりの状態からの次の一歩が進みやすくなっていきます。

 

この「自己を再定義する」という支援アプローチは、その性質上、人生経験が少ない子どもや若者の方に向いている支援アプローチだと考えています。他の支援団体が行っている苦手なものを克服して社会復帰するというアプローチであれば、年齢はあまり関係ないかもしれませんが、ストレングス協会の支援アプローチは「自己を再定義する」ことに特化しているため、「子ども」や「若者」と呼ばれる方々を対象とさせて頂いております。

 

「ひきこもりの高齢化」の未然防止

現在、「ひきこもりの高齢化」や8050問題が社会問題となっており、その支援の在り方も支援団体によって様々です。「とにかく待ちましょう」という支援もあれば、強制的に部屋から出す支援を行っている団体もあるようです。私は「ひきこもり」という状態、それ自体に良いも悪いもないと思っているため、ご家庭や本人が苦しんでいる中、「ずっと待ちましょう」とも思いませんし、逆に「力ずくで何が何でも」とも思いません。それよりも青年一人ひとりが「自分には価値があり、人生って辛いことや苦しいこともあるけど、歓びもあることを知ってほしい」という想いが活動の原動力となっています。そのため、もしお子様が長年、ずっと引きこもっているけれども、ご家庭内で食べていけ、貯蓄もあり、皆が幸せであれば、それはそれで良いと思っています。一方、お子様が「自分には価値がない」と思い続け、ご家庭内が苦しみや悲しみだけになっているのであれば、「ひきこもりの高齢化」という社会問題は「未然に防ぎたい」と思っています。その場合は、若ければ若い方が良いと思いますので、アンダー30(10代・20代)にフォーカスさせてもらっています。