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脱ひきこもり体験談


脱ひきこもり体験談

「ポジティブサイコロジー」を実践したE君の場合

「共感性」を活かしたD君の場合

「個別化」を活かしたC君の場合

「問題解決力」を活かしたB君の場合

「巻き込み力」を活かしたA君の場合

「共感性」を活かしたD君の場合

D君(21歳/男性:埼玉県在住)


【プログラム参加モニタリング期間】

・2017年4月~6月

【背 景】
都内の大学(理工学部)に自宅から通う大学1年生であったが、前年11月に突然退学したいと言い出し、親が説得してもどうすることも出来ず、本人の意思を尊重し、退学。高校時にも夏休み明けに不登校になっていた時期もあったがその理由については不明。退学前から家で過ごす時間が増えてはいたが、退学後から自分の部屋にひきこもり、会話がなくなり、両親はどのようにすればいいかも分からない状態。また退学した理由も「理工学部に興味がない」と本人は言っていたがその真相は定か。昼夜逆転の生活が半年続き、ひきこもりの状況が悪化するだけの息子に見兼ねて、母親がMILESTONEに連絡。両親の説得により辛うじて初回の無料訪問にたどり着く。


【1ヶ月目:信頼関係づくり】

訪問面談ではD君が下を向いて話さないため、パートナーが自身の恥ずかしい経験や国内外の様々な経験を話し、自己開示をすることで信頼関係を構築していく。親御様にはMILESTONEが行うアプローチにご理解を頂くためにポジティブサイコロジーのお話を中心に、平穏な心が保てる科学的なエクササイズを紹介。


【D君本人】
正直、衝動的に大学を辞めてしまって、これからどうすればいいのか、今振り返っても全くわからず彷徨って、ひきこもりの状態が続いていました。21歳になってまで親に頼っちゃいけないし、親に話すと正論ばかり突き付けてくるだけなので、もう話したくなくて、でもだからといって今後どうすればいいのかわからず悩んでいました。考えるのも嫌になって、考えないようにずっとしていたので、親からどうしても会ってほしい人がいるって言われた時は本当に嫌だったけど、でも今振り返ると心のどこかで、「救ってほしい」という想いがあったのかもしれません。


【母親】
息子に話しかけても、何も返事がなくひきこもりの状態が半年ほど続き、どんどん状況が悪化していくだけでした。インターネットで「ひきこもり 解決」というキーワードで必死に調べている時にMILESTONEのホームページに遭遇しました。息子が大学に入学して、ほっとしていたので、まさかこんなことになるとはという感じでしたが、当時を振り返ると藁にもすがるような思いだったのを記憶しています。


【パートナー】
初めてご自宅を訪問した時、D君はずっと下を向いたままでした。僕が話しかけても、ほとんど返答がなく、伝えたいことだけを伝えて帰ってきたという感じでした。それから2週間、全く連絡がなかったのですが、ある日、親御さんからご連絡頂き、本人がまた会ってもいいと承諾したいう連絡をもらったんです。おそらく親御さんが相当、説得されたんでしょうね。プログラムの第1回目の面談時、最初が肝心だと思い、改めて今のひきこもりの状況をどうにかしたいと思っているのかどうかを確認しました。そして、まずは信頼関係を構築することが重要だと思い、将来のことを話すよりも、彼が話さない分、僕自身のこれまでの海外の経験や恥ずかしい思いをした話などをして、とにかく自己開示をしていきました。


【2ヶ月目:「未来」への作戦会議】

D君が現状から一歩踏み出すために、今後の方向性を考えていく。大学を辞めて次の一歩が全くわかっていない状況だったため、パートナーは海外も視野に入れて様々な選択肢があることをD君に理解してもらうように努める。そして、強み診断テスト結果により見出したD君の「強み」を元に、どの方向性が最適なのかを議論し、脱ひきこもりを図る作戦を立てる。


【D君本人】
先生と会って1ヶ月経過した時、僕が知らない世界で色んな経験をされていて、ある日、「遠回りの人生の方が、人を感動させるドラマになるよ。」と言ってくれたのがとても印象に残っています。自分は大学を辞めてもう手遅れだと思い込んでいました。でも先生がアメリカやフィリピン、あとコスタリカで過ごしていた時の話をしてくれる中、「世界ってもっと広いんだ」って、実際に経験した人の話なのですごくそう思えて、もし日本がダメでも、海外に行けばやり直せるかもと思えるようになり、気持ちが前向きになってきました。


【母親】
先生が、薦めるわけではないのですが、海外も視野に入れた方がいいということを仰ってきて、うちの子が海外なんてと正直思いましたが、彼ももう大人なので、ここまできたら、もう本人の意思に任せようと覚悟しました。高校時代も不登校を経験して、もしかしたら彼は海外の方が合うかもとも思いましたし、何よりも本人が次の目標を見つけて今の状況を打破してほしかったです。私も先生から言われていたエクササイズをやることで、少しずつ気持ちが変わってきていたのを実感してきました。


【パートナー】
彼にとって必要なものは、視野を思いっきり拡げることでした。まだ21歳という年齢で、たかが大学を辞めただけでもう人生終わりと思い込んでいたんですね。いやいや、ちょっと待てと。(笑) 本来のプログラムは2ヶ月目から目標を設定して、強みを活かしてアクション・プランを作っていくのですが、彼の場合は、まずは視野を拡げた上で、その中で目標を設定していくプロセスが必要だなと思いました。なので僕自身がこれまで経験してきた海外の話をして、「ねっ、こんなに狭い世界の中で今君は生きているんだよ。この世界以外にも選択肢があるんだよ。」ということを理解してもらう作戦を立てました。そして、彼自身の視野が拡がってきたなというタイミングで、強み診断テストを受けてもらい、方向性を定めることが出来たのが1ヶ月半過ぎでしたね。通常のプログラムのペースで比べると少々、押している感じがありましたが、D君にとってこれが最善だったと今振り返るとそう思います。


【3ヶ月目:「脱ひきこもり」の実践】


D君が自分の「強み」を実践し、目標を達成していく期間。パートナーはD君が大学を辞めて何もしていない状況から一歩踏み出すために、具体的な脱ひきこもりのアクション・プランをD君と共に作成し、実践し始める時期。


【D君本人】
強みテストを受けて、1番に出てきたのが「共感性」でした。この「共感性」って、いつも他人の感情に振り回されてきていたものなので、これが強いと聞いて納得はしましたが、嫌なものでした。そのことをパートナーの先生に話すと、「強みのボリューム調整」という考え方を教えてくれ、さらに他人の感情を全て背負わないようにするやり方まで教えてくれました。そして「共感性がある人は言語の壁を越えて行ける」と言ってくれたのですが、確かにこれまで言葉にしなくても感じるというか、他の人が思っていることを察することが出来るので、これを活かせば海外でもやっていけるかもと思いました。でもいきなり留学ってハードルが高いので、まず日本の大学に行って、途中で海外に行く道もあることを聞き、やっと「やり直そう」って心から思えるようになりました。大学選びも「共感性」があるため、それを活かせるように「社会福祉学部」に行こうと決めました。自分にとって、理工学部よりもしっくりします。大学入ったらボランティアや課外活動を積極的にしたいです。


【母親】
3ヶ月前は泥沼の中にいるような感じだったので、本当に感謝しています。最初に海外のことを聞いた時、正直驚きましたが、先生から、「キッカケ」は海外かもしれないけど、将来、進路が変わっても全然問題ないと仰って下さったのです。人生にとって重要なことは、仮説を立てて実際に行動することだと。確かに今は日本の大学に再度、行くために勉強をしていますが、また大学に入ればそこでも色んな出会いがありますしね。私自身も、海外に行ったことがなかったため、視野がとても狭く、もっと柔軟に考える必要があるのかなと勉強になりました。


【パートナー】
実際、彼が海外に行って人生をやり直したいと言ってきた時、「きたきた!」と思いました。というのも、やっぱり多いんですよね、「新しい場所で人生をもう一回やり直したい」と思っている子達が。そのような子達にとって重要なポイントは、「どのように新しい場所を自分にとって生きやすい環境にしていくか?」という主体性です。彼は「共感性」が高かったので、感情を押し殺さなければいけない環境はストレスになるし、他人の感情に振り回される傾向にありました。でもそんな「共感性」がより強く、より豊かだからこそ価値を生む環境もあると思うんですよ。それが彼が興味を示した「社会福祉」でした。根が優しいんですよねD君。よくよく聞くと彼は元々理系でしたが、それも高校の先生に言われて、なんとなく決めただけだったんですね。来年の2月が入試なので、今は予備校に通って受験勉強を頑張っていると伺っていますが、今後、海外に進むかどうかは、また大学に入った後に考えればいいことで、人生はとりあえずの仮説をつくって、実験してみる。その繰り返しだと思うんです。結局、最後までなぜ大学を辞めたのかを最後まで聞かずに、彼は現状打破をしたのですが、受験勉強を始めた後に、「大学を退学して何を学んだか?」を聞きました。すると、「もっと視野を広く持つこと」そして、「相手の感情に振り回されないように、教えてもらった切り替え方の練習をすること」と言ってきました。ちゃんと考えて、学んでいましたね。21歳、D君の人生は「これから」です。応援しています。


※2017年9月現在、予備校に通学しながら受験勉強を継続中。

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