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モニター生徒の声

「巻き込み力」を活かしたA君の場合

A君(17歳/男性:都内在住)


【プログラム参加モニタリング期間】

・2016年8月~10月

【背 景】
小学2年生の時に不登校になり、以後ひきこもり。小学6年生時にフリースクールに半年間通学するも、中学入学と同時に再び不登校に。高校は都内の通信制高校に進学。通学・自宅学習もしておらず、普段は自分の部屋でネットゲームをして過ごし、外出は祖母の通院にタクシーで付添う程度。たまに夜中に目的もなく徘徊し、母親が警察に捜査願いを出すこともしばしば。A君本人によると「生きる意味がないので、学校に行っても意味がない」とのこと。高校2年生の8 月、1年生分の単位は全て取得しておらず、10月に全ての単位を取得しなければ1年分の授業料が無駄になる状況。合計7年間のひきこもり生活で日光を浴びていないため顔は白く、LINEの友達は全てネット上で知り合ったゲーム仲間のみ。母親と祖母と3人暮らし。


【1ヶ月目:信頼関係づくり】

訪問面談ではA君の背景を理解するためにパートナーが話を聴くことに徹底。A君本人との話の内容はこれまでのことや普段の生活状況、好きなネットゲームの話、自分自身の自己評価、また自分を客観的に捉えることができるようにポジティブサイコロジーのいくつかの実験のお話など。お母様にはMILESTONEが行うアプローチにご理解を頂くためにポジティブサイコロジーのお話を中心にし、平穏な心が保てる科学的なエクササイズを紹介。


【A君本人】
事前に先生が来ると親に知らされておらず、30分前に突然母親に知らされて準備する間もなく断ることが出来ませんでした。以前にも色んなカウンセラーが来ていたので、どうせまた同じだと思っていました。でもよく面談中に先生から「その考え方、面白いね」と笑いながら言われて、なんだかいつものカウンセラーと違うなあと、不思議な感じがしました。


【母親】
息子の面談が終わった後、先生に「この子のどこが悪いんでしょうか?」といつものように伺ったら、「何もおかしくありません。至ってふつうの17歳ですよお母さん。」と断言されてしまいました。私は納得がいかず「いや初対面だからネコかぶっているだけですよ。どこが悪いんですかね?」とさらに伺うと、「それは僕だって初対面の人に会うときはネコかぶりますよ」と言われ、面談中に「椅子の高さを低くして自分に目線を合わせたこと」や「目を見て話したこと」など、私が普段気にしなかった息子の何気ない仕草について具体的にその理由を述べてくれました。そして今までに聞いたこともなかった「ポジティブサイコロジー」という心理学について丁寧に教えてくれ、全くこれまでのカウンセラーと違うアプローチなんだなと驚いたことが印象的です。


【パートナー】
親御さんは「この子のどこがおかしいのか?それを見つけて治してほしい」という感じで事前にお話されてきましたが、A君本人に直接会うと、おどおどしていますが、とても謙虚なんですよね。ネットゲームの話なんかも「なぜそのゲームはして、こっちのゲームはしないのか?」など聞いても、その理由が面白いんですよ。(笑) よく考えているな~って。そんな時、「あっ、この子、競争心が強いな。あっ、この子、平等心が強いな」と彼の中にある「強み」の原石が見つかるんです。本人にはまだ言いませんが。(笑) この1ヶ月間は、直接本人に会って話すことが出来たら、まずオッケーですね。話を聴く中で「脱ひきこもり」に必要なお子様独自の「強み」が見つかりますから。あとは親御さんに私達のアプローチを理解してもらうことがカギでしょうか。


【2ヶ月目:「未来」への作戦会議】

A君の人生をタイムラインで捉え、未来へ向けた話を中心に行う。将来の目標を設定し、その目標を達成するためにこれまでの会話でパートナーが見出したA君の「強み」の話をする。また客観的な強み診断テストを受けてもらい、自分自身に「強み」があることを自覚させる。またお母様にも強みのテストを受けてもらい、どのようにその「強み」を活かして支援するかを話し合う。


【A君本人】
僕自身、生きる意味がわかなかったのですが、だったらその「生きる意味や人生の目的をみつけること」を目標にすればいいと思うようになってきました。先生から「生きる意味は『人との関わり』の中にある」とあるアメリカの心理学者が言っていることを伺い、僕はこれまで人との関わりがほとんどないのに生きる意味を探していたんだってことに気がつきました。だったらそれを見つけることを目標にしようと思い始めたんです。そして同じようなタイミングで先生から自分の「強み」について話をしてくれました。最初は先生がいう僕の強みって、先生の主観でしょと思っていたのですが、確かに思い当てはまる節があり、客観的に強みテストも受けたのですが、その結果にも似たようなものが出てきて・・・「あっ、これもやっぱり自分なんだ」って。うまく言葉で表すことができないんですが、何か自分の中で重大な変化が起きているのを感じました。


【母親】
私としては少し気持ちが明るくなってきました。相変わらずまだ学校に行かずにあと1ヶ月したら1年分の授業料が無駄になってしまうという焦りがあったのですが、先生が「お母さん、息子さんってこんな強みがあって、これを活かしたらこんな仕事が出来ますよ、あんな仕事が出来ますよ」って。私は彼が社会に出てそんなことが出来るのか?と半信半疑だったんですが、確かに息子、そういう一面も持っているなって納得するんですよね。なんか希望を持たせてくれるというか、長い目でみたら、まだいけるかもって。私自身の「強み」も教えてくれて、息子がひきこもりを脱出するためにどのような支援をすればよいのかまで教えてくれました。


【パートナー】
彼の中に変化が起きていたのは一目瞭然でした。これまでネガティブな面のみを見て、「それが自分自身だ」と思い込んでいた彼にとって、自分の強み、もう一つの側面を見て、「それも自分だ」と腑に落ちたんでしょうね。彼のアイデンティティに変容があったと思います。 この時期だったでしょうか、彼のLINEのプロフィールのコメントが変わったんですよ。「人は変わらなくてもいい」って。そしてそれから1週間後、これまでずっと真っ暗で誰だかわからない顔写真だったのが、鼻から上ですが明るい顔に変わっていたんですよね!あれは感動しました。「人は自分の強みも弱みも、ありのままの自分を受け入れた時に変わり出すんだな」って。


【3ヶ月目:「脱ひきこもり」の実践】


A君が自分の「強み」を実践する期間であり、学校で「強み」をどのように使えるかをA君本人とディスカッション。次回の面談までに実施してもらい、その振り返りを行う。パートナーは積極的に他者のために「強み」を使うように促し、A君は自分の「強み」を活かして人との関わりをもつようになる。お母様にもご自身の「強み」を活かながら支援するよう、継続的に促し、日常生活で試みてもらう。


【A君本人】
先生に僕の強みは「人を巻き込む力」で人間関係を構築する時に使える強みだと聞いた時は「まさか」と思いました。でもよくよく考えると、確かにネットゲームの中で使っているんですよねその「強み」を。(笑) これは僕の癖だなって。そしたらその部分の脳の回路はゲームを通して鍛えられているからリアルでも応用することが出来るって言ってくれて。その時、僕は将来、「心理学を学んで人生の目的や生きる意味を見つける」という目標もできていたので、高校を卒業しないといけないと思うようになってきていました。でも学校の勉強が嫌いだったので、先生にアドバイスをもらい、学校を「勉強する場」ではなく、「その強みを育てる場所」だと捉えることにしたんです。それで実際に学校行き、自分の強みを活かそうと意識すると自然にできることなので、やっぱりリアルでも出来たんです。それから友達が出来始めました。ひきこもりにまた戻ってしまうんじゃないか?という不安もたまにあるんですが、吉祥寺で定期的に先生と話せる場があるので今のところ順調です。


【母親】
正直信じられませんでした。だってそれまで色んなことを試してきたんですから。プログラムを修了するとき、先生に「なんでお母さん、これまで7年間もの長い期間、潰れずに息子さんを支え続けることが出来たんですか?」と尋ねられました。私はそんなことこれまで考えもしなかったので改めて考えましたが、「ひょっとしたらこれが効くかもしれないって色んなことを試し続けたことで気持ちが切れなかったのかもしれません」と応えたんです。すると先日自分が受けた強みテストの結果を再度見せてくれ、「お母さんもご自身の強みを活かされていましたね」と言ってくれました。何か大切なことを教えられた気がします。 お陰様で数年ぶりにゆっくりとした年末年始を過ごすことができました。


【パートナー】
僕はA君を称えたいです。なぜなら彼は自分の強みが「人を巻き込む力」だとわかってから、実際に学校で転入してきた子や一人ぼっちの子に話しかけ始めたんですよ、意識的に。自分の「強み」を人の為に使おうって。そしたらですね、これまでネット上の顔が見えない人としか繋がりがなかったLINEに一人ずつリアルな友達が増えていくんですよ。ある日、彼はその友達から「今日声かけてくれてありがとう」っていうメッセージをもらったんです。「それもらったとき、どんな気持ちがした?」って聞いたら、恥ずかしそうに「嬉しかったです」って。もう嬉しいですよね。彼は知らないうちに、その一人ぼっちの子にとってのヒーローになっていたんです。「生きる意味、あるよな」って。これからの彼のストーリーが楽しみです。


後日、お母様から頂いた手紙はコチラ