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「脱ひきこもり」お役立ちコラム

「無意識の自分」に御礼を言う。

不登校やひきこもりのお子様の悩みの1つに「〇〇しなければいけないけど、どうしてもできない」というものがあります。「意識の上ではテスト受けないといけないと分かっているけど、受けれなかった」「外に出ないといけないと分かっているけど、気がすすまない」・・・などなど、お子様本人の意識は「〇〇したい」「〇〇しなきゃ」と思っているけれど、無意識的にストップをかけるというご経験をするお子様が多くいらっしゃいます。またこれは不登校やひきこもりのお子様だけに限った話ではなく、我々大人も同じような経験をすることもあるのではないでしょうか?

 

このように意識下では「テストを受けに学校にいかなきゃ」「もう働き始めたい」と思っていながらも、無意識にそれにストップをかけているもう一人の自分がいるという状況をどのように対処していけばいいのでしょうか?ここでは、セルフコンパッション(自己への思いやり)というポジティブサイコロジーの理論をもとに考えていきたいと思います。ポイントは3つです。

 

(1)擬人化する

 

まず、「今、自分の中で何が起こっているのか?」を擬人化させ、現状把握をすることからはじめましょう。登場人物は3人です。自分自身と、「テストを受けに行こう」「外に出よう」と自分の成長を後押しする意識下の意志ある自分、そして自分が成長することにストップをかける無意識の自分という3人が出てくるとしましょう。自分以外の「意識下の自分」と「無意識下の自分」に名前を付けるとより分かりやすく、自分と切り離して客観的に考えることができるようになるので、MILESTONEではお子様に名前をつけてもらいます。

 

(2)自分にストップをかける無意識に御礼を述べる

 

意識と無意識の自分に名前を付けてもらった後、この2人が自分の中でどのような会話をしているのかを、お子様ご本人にそれぞれの立場になりきって話てもらいます。そして何が起こっているのかを聞くと、往々にして「意識の自分」が「無意識の自分」を倒そうと戦っているにも関わらず、「無意識の自分」が強いため、いつも「無意識の自分」が勝ってしまうという状況です。このように「意識の自分(テストを受けにいかないと!)」が「無意識の自分(点数悪くて、恥ずかしい思いするから止めろとけ!)」を倒そうとすると、往々にしてうまくいきません。私たちの考えでは、それは意志が弱いからではなく、もう一人の無意識の自分も自分であり、その「無意識の自分」の立場になって考えると意外なことがわかってきます。それは、「無意識の自分」が自分を守ろうと懸命に頑張ってくれていることです。「学校に行くと周りから白い目で見られるぞ」「外に出たら辛い思いいっぱいするぞ」「体調悪いんだから休んでおけよ」・・・実は「無意識の自分」は自分を守ろうと懸命に自分自身に働きかけてくれていたのです。自分を守ろうと頑張っているにもかかわらず、敵と見なされ攻撃されるのは「無意識の自分」にとって心外ですよね。ですから、敵とみなして戦うよりも、実は「無意識の自分」に対して、「守ろうとしてくれてありがとう」と御礼を言うのが先なのです。

 

(3)無意識に間違いを指摘する

 

不登校やひきこもり状態から踏み出そうとしているのに踏み出せない。そんなお子様は往々にしてこの「無意識の自分」を「敵」にしてしまっています。ですから、上で見たように「無意識の自分」に御礼を述べて、「無意識の自分」の心を開かせる必要があります。もちろん、「無意識の自分」は「今の自分」を守ってくれますが、「将来の自分」のことは考えていません。ですから、「無意識の自分(外に出たら辛いからやめとけ!)」の声に従い続けると、将来の自分にとってはマイナスであるため、御礼を言った後に、「でも守り方は間違っているよね。」と丁寧に指摘してあげればいいのです。自分自身に対して、「守ろうとしてくれているんだね。ありがとう。でも今の自分は守ってくれるけど、将来の自分は守ってくれないよね。」と「無意識の自分」に気づかせてあげると「無意識の自分」勢力が少しだけ弱まり、将来の自分を守ってくれる「意識の自分」の声が大きくなっていきます。ここで自分の意志と行動がはじめて伴ってくるのです。

 

 

ここでは、不登校やひきこもり状態からの脱出に一歩踏み出したいけど、踏み出すことができないというお子様の心の中で何が起きているのか?という点を擬人化して見ていきました。もちろん、不登校やひきこもりのお子様によっては「意識の自分」がまだ現れてきていない場合もありますし、お子様全員に適応できるお話ではありませんが、心の中で葛藤しているようなお子様に対しては、ぜひご参考にして頂ければと思います。

 

 

松隈 信一郎

1986年福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて、幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中、知人よりひきこもりの子どもの訪問支援を依頼され、試行錯誤しながら面談を実施していく中、長年ひきこもっていた子達が活力を取り戻し、行動し始めたことから、従来のカウンセリングではない、ポジティブサイコロジーによるひきこもり脱出支援の可能性を見出す。その後、MILESTONEを立ち上げ。10代、20代の若者に特化した訪問支援を通して、世界中の若者たちが人間らしい喜怒哀楽を享受する社会の実現に向けて活動を続ける。日本ポジティブサイコロジー医学会事務局、米国GALLUP社人材開発コンサルタント兼任。