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「脱ひきこもり」お役立ちコラム

大学生のひきこもりで中退することを考えている時

松隈 信一郎(医学博士/公認心理師)

福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中より従来のカウンセリングではない、ポジティブサイコロジーによる不登校・ひきこもり支援の可能性を見出す。その後、一般社団法人ストレングス協会を設立。10代、20代の若者に特化した訪問支援と教員・保護者へのポジティブサイコロジーの教育を通して、世界中の青年が希望をもてる社会の実現に向けて活動を続ける。著書に『ポジティブサイコロジー:不登校・ひきこもり支援の新しいカタチ』(金剛出版)、『「強み」の見出し方』(「月刊精神科」2017年7月号)等。

 

年度末となり、進級や進路、休学や退学のこと等、具体的に決断しなければいけない時期にいるお子様もいらっしゃるかと思います。特に2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響でオンライン授業の導入や分散登校などで調子を崩し、なかなか授業に出れずに単位が足りなくなり、留年か退学かと迷われているお子様(特に私立の高校生、大学生)も多いと感じています。ここでは特に大学生に絞ってお話をしたいと思うのですが、今、お子様が中退するかどうかで悩んでいる際のご参考にして頂けたらと思います。

 

大学生のお子様が中退すると言い始めた時、その理由は多岐にわたります。人間関係でつまずいた、そもそも行きたい学部じゃなかった、授業がつまらないし意味がない・・・。頭では「理想の大学なんてない」とは分かっていてもどうしても心がついていかないということは、大人の私達にもよくあることです。10代後半、20代にもなれば自分で決めて自分で責任をもつことも重要です。そのため、中退するかどうかは親御様が決めるのではなく、ご本人に決めさせてほしいと思うのですが、一つだけ親御様として気にかけていてほしいことがあります。それは、中退後にお子様を孤立させないことです。よくあるお話なのですが、お子様が大学を中退する前、「アルバイトをするから」「もう働くから」という理由で中退することがあるのですが、そのまま中退してすぐに働き始めたというお子様にこれは私だけなのか、未だ出会ったことがありません。そのようなお子様も勿論、世の中を見渡せばいらっしゃるかもしれませんが、そのまま家にひきこもり、昼夜逆転をして、どんどん社会的に孤立していくお子様と多く出会ってきたためか、なかなか個人的に大学中退後にすぐに働き始める姿が想像ができないのです。

 

私は「ひきこもり」という状態が良いとも思いませんし、悪いとも思いません。お子様の状況によっては大学で無理をし過ぎて、ちょっと身体を休めたい、家でゆっくり過ごして考える時間も必要なお子様もいらっしゃると思います。長い人生、常に生産的である必要もないと正直、思っています。ここで何をお伝えしたいかというと、お子様が大学を中退するかどうか、その判断は本人次第だと思うのですが、中退した後に今後のことについて相談できる人と繋がることはサポートして頂きたいということです。もし親子関係が良好で、今後のことで相談にのれる状態であれば必要ないかもしれません。どうしても日本社会は、「〇〇大学に通っています」「〇〇会社に勤めています」と個人よりも所属先で人を見る文化があるため、所属先がないこと自体、とても引け目を感じやすく、この感覚は所属先を無くしたことがある人ではないとわからない感覚なのかもしれません。そのような感覚でいると、どんどんマイナス思考になってしまい、行動がとれなくなることがよくあるのです。大学を中退した後に「早く行動しなさい、働きなさい」と言われもなかなか行動に移れないのは、ある意味、彼らのせいだけにはできません。

 

それゆえ、親戚でも、高校時も心療内科でもNPO法人でも、私達のような社団法人でも、何でも構いませんので、誰かと相談できる環境を整えて、中退の判断をさせてほしいと思います。当会の場合であれば、一度、お子様本人の強みや価値観等の自己理解を深め、再出発をする上でどの方向性が良いのか等の作戦会議をしていきます。具体的な内容等についてはお気軽にご相談フォームよりお問い合わせください。長い人生、学校だけが全てではありませんし、どのような道に進もうと人生の学びになります。まずは、彼らを孤立させない環境を一緒に整えていきましょう。