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大学入学時に人間関係でつまずいた20歳の男の子が自分なりの人間関係の築き方を学んでいったケース

N君(20歳/男性:東京都在住)は幼少期から高校まで地方で過ごし、大学時から進学のために東京に引っ越して一人暮らしをしていました。都会の生活や周囲のクラスメイトのあか抜けた雰囲気に馴染めず、1年時の4月のみ登校してゴールデンウィーク明けから大学に行けなくなりました。その後は自分の部屋でスマホをいじりながら時間だけが過ぎていくという日々を送り、進級のタイミングで単位が取れていないことを親が知り、このままではいけないとホームページで調べられ、N君と関わるようになりました。初めてN君に会った時は、一見、よく街中で見かける大学生そのもののような雰囲気でしたが、自信がなさそうであることは一目瞭然でした。

 

初回の面談で今どんなことをしているのか、またこれから「自分の取扱説明書」を学んでいくことについてお話していきましたが、私が自分自身の恥ずかしい部分をさらけ出すからなのか、こちらから伺っていないのですが、N君本人から「人間関係に自信がもてさえすれば、前に進んでいきる気がする」と話してきたのです。どうも大学入学時のオリエンテーションや新歓で盛り上がる周囲の学生に圧倒されたようで、そこから“自然”に人と話せなくなったとのことでした。それから徐々に大学に行くことが億劫になり、ゴールデンウィークに地元に帰り、東京に戻ってきた後、「もうすべてがどうでもよくなった」と無気力状態に陥ったと言ってきました。ポジティブサイコロジーのアプローチは理論的にプラス面から入っていくというものなので、課題を伺うのは徐々にでもいいと思っていたのですが、N君本人、「現状から脱却したい」という思いが強かったのでしょう。「なんとか人間関係を改善したい」という声にはなっていない切実な声が聴こえてきました。

 

そこで私たちは彼の「強み」を活かして、いかに人間関係を構築することができるかについて、一緒に考えていくことにしました。これは不登校・ひきこもりに限った話ではなく、どうしても私たちは「コミュニケーションや人間関係を作ることが上手な人」を思い浮かべると明石家さんまさんのような誰とでも社交的に明るく話せる人をイメージしがちです。彼自身も人間関係が上手な人のイメージで、さんまさんのような社交的な人を思い浮かべていました。勿論、さんまさんのコミュニケーション能力は卓越したもので、さんまさんの「強み」だと思いますが、なにも人との繋がり方は一つではありません。事実、彼自身も高校まで、何かしら友達と繋がってコミュニケーションをとっていたわけですから。私たちは彼の「強み」を活かしながら、いかに彼らしく人と繋がっていくか、その道筋を見つけていくことをゴールにセッションを重ねていくことにしました。

 

彼の「人間関係」にまつわるイメージを柔らかくしながら進めた方が良いと思い、マインドフルネスを練習していき、その後、ポジティブサイコロジーの強み診断アセスメントでN君の「強み」を見出していくと、彼の強みは「親切心」「向学心」「社会的知性」「成長促進」という「特長的な強み」をもっていました。それぞれの「強み」が彼にとって何を意味しているのかを聞いていくと、「親切心」は電車の中で席を譲ったり、たしかに気遣いは出来ると。また「向学心」は何かを学んだり、知識をつけていくことが好きで、それは勉強に限らず、ゲームの攻略法やゲーム実況を見て学ぶことに今は現れているかもしれないと。「社会的知性」は空気を読もうとする癖があるらしく、「成長促進」に関しては、「なぜか自分でもわからないけれど、誰かを応援したくなる」というのです。高校時の部活でも後輩の面倒見がいいと顧問の先生にも褒められたことがあると言ってきたので、私は「なるほど」とピンときました。N君は「誰とでも社交的に話せること」で人と繋がるのではなく「誰かの気持ちを気遣ったり、応援すること」で人と繋がることができる子なんだろうと。彼自身にそのことを伝えてみると、なんだか腑に落ちているようで、確かに部活でもそうだけど、妹の面倒とか苦じゃなかったし、と過去の出来事を色々と思い出していました。また、大学入学時にはあまりにも場違いな空気を感じてしまったとのことで、「社会的知性」を使い過ぎて、自分が分からなくなったと「強み」のレンズを通して、自分の体験を再定義し始めました。これは彼だけでなく、よくある話なのですが、私たちはどうしても何度か人間関係につまずくと、「自分は人間関係が築けない」と全てに広がって定義付けをしてしまいがちです。ポジティブサイコロジーの原則に、「成功したければ自分の成功から学べ」という考えがあり、今の本人にとっては「例外」だと思われる「過去の成功体験」を分析して、その人なりの勝ちパターンや法則を見出し、それを未来に応用していきます。ですから、彼が人間関係に対する自信を回復するためには、さんまさんのように社交的な人間になる必要はなく、いかに応援できる人を探すか、適度に親切な行為を行っていくかということが重要になります。

 

彼自身、大学からしばらく遠のき、ハードルが高いと感じていたため、自宅と大学以外の第三のスペースを作ろうと、まずはアルバイトから始めることを試みました。ちょっとそこで自信をつけた上で復学に臨んでいきたいと、次年度からはじまる前期は休学し、彼は個別指導塾で中高生に勉強を教え始めました。久しぶりに人と接するため、また、初めてのバイトで最初は緊張していたのですが、彼の「成長促進」や「親切心」からくる面倒見の良さがそのまま活かされる仕事でもあり、思っていた以上に、喜びを感じることも多かったようです。下の子の面倒見がいいという性分からなのか、他の多くの子達とは異なり、留年して一学年下の学生と学ぶことに対してはそこまでハードルがないようで、彼自身、アルバイトに週3回行きながら、復学に向けた準備を進め、後期から復学をしていきました。

 

N君のように中学入学、高校入学、大学入学など新しい環境に入った時につまずいてしまい、「過去に出来ていたこと」になかなか目が向きにくくなってしまうのが人間というものです。N君が自分なりの人との繋がり方を思い出し、認識したように、ぜひ、「過去、うまくやれていた時」のことを思い出させ、「勝利者インタビュー」のようにその勝因を分析してほしいなと思います。N君の面倒見の良さが、この社会に花咲く日を夢見ています。

大学生がひきこもってしまう理由を動画で解説しました

松隈 信一郎(医学博士/公認心理師)

福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中より従来のカウンセリングではない、ポジティブサイコロジーによる不登校・ひきこもり支援の可能性を見出す。その後、一般社団法人ストレングス協会を設立。10代、20代の若者に特化した訪問支援と教員・保護者へのポジティブサイコロジーの教育を通して、世界中の青年が希望をもてる社会の実現に向けて活動を続ける。著書に『「強み」の見出し方』(「月刊精神科」2017年7月号)等。

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