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「脱ひきこもり」お役立ちコラム

【コロナ特集】冷静さを保つのを助ける簡単なエクササイズ

松隈 信一郎(医学博士/公認心理師)

福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中より従来のカウンセリンではない、ポジティブサイコロジーによる不登校・ひきこもり支援の可能性を見出す。その後、一般社団法人ストレングス協会を設立。10代、20代の若者に特化した訪問支援と教員・保護者へのポジティブサイコロジーの教育を通して、世界中の青少年が希望をもてる社会の実現に向けて活動を続ける。著書に『「強み」の見出し方』(「月刊精神科」2017年7月号)等。

 

コロナウイルス感染の影響で外出自粛等、世界的にある意味、「ひきこもること」が推奨されています。コロナ感染が話題になる前から不登校やひきこもりの状態であったお子様には何も関係ないことのように思われますが、新学期から頑張ろう、新年度から行動を開始しようと意気込んでいたお子様やご家庭も多くあり、なかなか思うように計画が立てられず、少々、苛立ちや焦燥感をもたられる方も多くいらっしゃるかと思いますし、寧ろ、そのような感情は自然なものだと思います。

 

このように世界が「不確実性」に直面する中、ポジティブサイコロジーの創始者であるマーティン・セリグマン氏が「冷静さを保つのを助ける簡単なエクササイズ」を紹介していますので、翻訳したものを記載します。

 

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(以下、翻訳)

コロナウイルスに関する状況が日々変わってきており、このような不確実性は不安や恐怖をもたらします。ポジティブサイコロジーの創始者であり、ペンシルベニア大学ポジティブサイコロジーセンター長のマーティン・セリグマン氏は「人間のマインドは自動的に最悪のケースに偏ってしまいます。それも、しばしば不正確なものにです。破局的思考は進化における適応したマインドのフレームワークでありますが、通常は非現実的にネガティブなものです。」と述べています。自分のマインドを再びフォーカスし直すために、セリグマン氏は「Put It in Perspective (大局的に見る)」という簡単なエクササイズを紹介しています。それは私たちのマインドが最初に行う最悪のシナリオを想起し、その後、最善のシナリオへと移り、最も現実的なシナリオに落ち着くように進めます。この考えは思考を非合理的なものから合理的なものへと再び方向づけることです。

 

ステップ1:自問自答する「起こりうる最悪のシナリオは何か?」

これは皆さんの年齢や健康状態によって変わるでしょう。セリグマン氏は77歳でペンシルベニア州Montgomery郡に住んでおり、コロナの感染拡大を予防して最近、閉鎖されたと自身のシナリオを例として挙げます。彼の最も重々しい考えは自動的に極端な方へと向かいます。「私は確実に感染します。なぜなら私の娘はここの学校に行っているからです。一旦、感染すると、厳しいケースとなり、70代で死ぬでしょう。」

 

ステップ2: 次に最善のシナリオを考えることへ自分を仕向ける

このステップの段階では、セリグマン氏は「私は感染しませんし、家族もしないでしょう。終息して、大丈夫でしょう。」と考えました。

 

ステップ3: 次に最も起こりうる可能性が高いことを考慮する

セリグマン氏は最も現実味のある結果として、「私は多分、最終的には感染するかもしれません。しかし多くの大人と同じように、ほとんど無症状もしくはおだやかなものでしょう。たとえリスクが高い年齢といっても、非常に健康的ですので、病気で1~2週間は不調でも、後に回復するでしょう」としました。

 

ステップ4: 最終的に最も現実味のあるシナリオに向かう計画を作成する

これは最も起こり得ないことについてエネルギーを浪費することとは異なります。厳しい状況となる不測の事態へと向き合うためのものです。皆さんの計画は個別の状況によります。例えば、自分が風邪を引いた時は、子どものケアを確保する必要があるか?家にいないといけないならば、十分な食料や薬はあるか?仕事へはどのような意味があるのか?自分が高リスク集団であれば、誰か自分のことをケアしてくれる人はいるか?などです。セリグマン氏はこのエクササイズを多くの状況や異なる集団で試してきました。

 

<出典>

Medical Press, March 16, 2020 :A simple exercise to help stay calm in the face of coronavirus uncertainty

 

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いかがでしょうか?ここでセリグマン氏が紹介しているエクササイズは、認知行動療法では「シナリオ法」と呼び、偏った認知の歪みを修正するために活用される技法の一つです。今回のコロナウイルス感染症もそうですが、「子どもの不登校やひきこもり状態が続いたら、この先どうなるんだろう?」という不確実性への不安に対して、効果的なエクササイズになります。特に日本人は国際比較でも「Uncertainty avoidance(不確実なものからの回避)」が世界で最も高い国のうちの1つと昔から言われています。地震や津波などの災害が多い地域に住んでいるため、そういう国民性になったとその研究報告では推測されていましたが、確かに、「前例がないからやらない」という判断をよくしがちになる風潮があります。「不確実性からくる不安」への対処法として、このシナリオ法は役に立ちますので、是非、試してみてください。何がともあれ、今は目の前の就学・就労よりも、生きる上で本当に大切なことは何かを改めて考える時期なのかもしれません。在宅勤務や外出自粛により、時間ができた今だからこそ見つめ直したいところです。コロナウイルス感染症の一刻も早い終息を祈り、日々、自己犠牲のもと、その終息に最前線で奮闘される医療従事者や研究者の方々に敬意を表します。