中学生・高校生の不登校の親御様は〇〇してください。

松隈 信一郎(医学博士)
福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中より従来のカウンセリングではない、ポジティブサイコロジーコーチング(PPC)による不登校・ひきこもり支援の可能性を見出す。その後、一般社団法人ストレングス協会を設立。10代、20代の若者に特化した訪問支援と教員・保護者へのPPCの教育を通して、世界中の青少年が希望をもてる社会の実現に向けて活動を続ける。著書に『「強み」の見出し方』(「月刊精神科」2017年7月号)等。
小学校の時は学校に行っていたのに中学や高校に入って学校に行かなくなったお子様に対して、親御様はどのような姿勢で接すればよいのでしょうか?
外で働いて帰宅すると、ゲームばかりしている、もしくは布団の中で寝ている我が子を見ると苛々したり、怒鳴りたくなるのも無理ありません。ここでは10代の不登校・ひきこもりのお子様に対して、どのように接すれば、ひきこもり状態から脱出できるかについて学びましょう。
勿論、「不登校」と一言でいってもその在り方は様々です。百人いれば百通りの不登校があり、その対応の仕方や進み方も人それぞれ様々です。しかし、こと人間の成長段階において、思春期の真っただ中にいる10代前半から半ばのお子様と接する上で重要となる姿勢はお子様が不登校であろうとなかろうと共通するものがあるようです。
それは、お子様を「私の子」として接するのではなく、「対等な一人の人間」として接するということ。
特にお母様に多いパターンなのですが、わが身を痛めながらご出産されたお子様に対して、幼児期から小学校とご自身のことを後回しにして、育児に専念されていく中、無意識のうちに「私の子は私の一部」となってしまう傾向があります。お母様から産まれてくるため、元々「私の一部」であったことは確かに間違いありませんが、この考え方が中学生・高校生の不登校のお子様が引きこもり状態から脱出していく際、非常に「妨げ」になるのです。
なぜなら、本来は自分の一部であるはずなのに、学校に行かずにゲームをしているお子様の表面上の行動が理解できなくなり、その理由や原因を「全て」知りたいと思ってしまう衝動に駆られ、必要以上に知ろうと、過干渉になってしまうことが不登校のお子様を抱える母親の「あるある」なのです。この「過干渉」がお子様の不登校やひきこもり状態からの脱出、さらには一人の人間の成長を妨げる可能性があることに気づいていないケースが多々あります。
自分自身の内面を他人に知られたくない。これは人間の防衛本能です。いくら親だからといって、子どもの内面を知る権利はありません。思春期のお子様は「私の子ども」から「一人の人間」に成長しています。親御様も何十年か前にご経験されたように。
お子様を、「私の子ども」ではなく、人格も異なる「一人の人間」として接してください。
この姿勢でお子様に接し始めると、ひきこもり状態からの脱出が早くなる傾向があります。
「急がば回れ」とよく言われますが、不登校・引きこもり支援においても、「(私が)早く解決したいので、その理由を一刻も早く把握しなければ」と力めば力むほど、ゴールはどんどん遠ざかります。
頭では理解できても、なかなかそう思うことが出来ない親御様は、この言葉を口癖のように呟いてみることから始めませんか?
「私とあの子は家族だけど別の人間。あの子にはあの子の人生がある」
※もし呟いてみても難しい場合、保護者支援 をお勧め致します。お気軽にお問合せ下さい。