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「脱ひきこもり」お役立ちコラム

不登校・ひきこもりの心理⑤ 「劣等感」を捉え直す

不登校・ひきこもりのお子様の心理でよく「劣等感」というものがキーワードに挙げられます。他人と比較し、自分は劣っていると感じるマイナスの心理を指しますが、いくら周囲が「他の子と比べる必要ないのに」「人と比べる必要なんてないよ」と助言しても、社会的動物である私達にとって他人と比較しないことはそもそも不可能に近いことなのかもしれません。ここではこの「劣等感」という不登校・ひきこもりのお子様の心理をポジティブサイコロジーという新しい心理学のレンズを通して、改めて見ていきましょう。

 

不登校・ひきこもりのお子様と関わる際、非常に劣等感を感じているお子様がいらっしゃいます。お話を伺うと、例えば10代でしたら、中学時代のテストで挫折した経験でしたり、20代では、同世代が会社に入って数年経つのに自分は何もしていないという経験でしたり・・・。従来の心理学では、彼らの苦悩に耳を傾け、共感していくことしかこの劣等感という心理状態に対処できませんでした。

 

しかし、ポジティブサイコロジーの分野にドナルド・クリフトン博士(米国ギャラップ社/ネブラスカ大学教授)が特定した34種の「強み」の分類表があります。その分類表をもとに考えると、「競争性」と「回復志向」という「強み」の資質があるのです。「競争性」とは常に外部の何かと比較し、それをモチベーションとして上を目指したくなる資質を指し、また「回復志向」とは問題を見つけ、それを解決したくなるという資質を指します。これらの資質はまだダイヤモンドの原石のようなものであり、うまく使うと、「競争性」はライバルを見つけ、切磋琢磨しながら成長できる「強み」に、また「回復志向」は問題を見つけて解決できるトラブルシューターという「強み」として機能するのですが、まだ原石の状態であれば、「競争性」によって、明らかに自分の能力以上の人と比べて(勝手に)挫折したり、「回復志向」によって、自分の問題ばかりを探して自己嫌悪に陥るようにもなるのです。

 

このことが頭に入っていると、「劣等感」をもつ不登校・ひきこもりのお子様にお会いする際、もしかしたらこの子達は「競争性」や「回復志向」という強みの原石をもっているんじゃないか?自分の「強み」の使い方を間違えているだけなのではないか?という視点から彼らと関われることが出来るようになります。不登校やひきこもりのお子様に対して、いくつか質問をし、これらの「強み」が特定できれば、もしかしたら自分自身の「強み」を間違って使ってしまっているかもしれないね、と適切な使い方を教えていく方向にシフトしていくことが可能になるのです。なぜなら、それらはもとは自分自身を輝かせてくれる「強み」ですから。「競争性」が高いお子様には、比べる対象を変えたり、何と比べるのかをより適切に明確にしていけば、いい意味で「競争性」が彼らの原動力になっていきます。「回復志向」が高いお子様には、自分の直せる部分と直せない部分の線引きをしっかりさせ、「問題解決」の矢印を他者(困っている人)に向けさせるように教えていき、人の役に立つ経験が出来るように導いていきます。このようなプロセスを歩むことで、不登校やひきこもりのお子様が感じていた「劣等感」という心理は、実は「競争性」や「回復志向」という強みの「副作用」だったのかということに気づき、むしろどのように自分のプラス面をうまく活かそうかという考えに変わりやすくなるのです。そして、結果的には劣等感ではなく自己肯定感を高め、自分の足を引っ張っていたものが、実は不登校やひきこもり状態の脱出のカギとなったりするのです。

 

勿論、一概には言えませんが、もし不登校やひきこもりのお子様が他人と比べて、劣っているという心理状態が著しく強い場合、一度、「強み」のレンズを通してみると、また新しい姿が見えてくるかもしれません。不登校やひきこもりのお子様がいくら劣等感を感じていたとしても、そこにはダイヤモンドが眠っているかもしれない、その視点を是非忘れないでくださいね。