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「脱ひきこもり」お役立ちコラム

ひきこもりの将来

不登校・ひきこもりの将来

 

  • ITの発達により、ひきこもり状態でも仕事に就ける
  • 「社会」とはコミュニケーション・スキルだけが求められる場ではない
  • 自分にとってハマりやすい「社会」を見つければいい

 

ひきこもり状態が長引けば長引くほど、ひきこもりの子も親御さまも将来のことが不安になるかもしれません。「将来、仕事に就くことができるのかな・・・」と不安になったり、「どうせ仕事には就けないだろう。」とあきらめたり、「うちの息子は仕事に就けるのかしら」と心配したり・・・。不登校やひきこもり状態になると将来のことがどうなるのか、「高校-大学-就職-終身雇用-退職」という暗黙のレールが敷かれている日本社会では、そのようなマイナスの感情になってしまうのも仕方ありません。ここでは「ひきこもりの将来と仕事」について考えてみたいと思います。果たしてひきこもりでも仕事に就けるのでしょうか?

ひきこもりも仕事に就ける

結論から言うと、もちろんひきこもりでも仕事に就けます。

一般的な考え方として、昨今のインターネットやテクノロジーの発達がそれを可能にするという説明ができます。今は会社に行かなくてもパソコンさえあれば自宅で仕事ができるという職種は多くあり、加えて英語ができるようになれば海外との仕事も家の中でできる時代です。アメリカの大手企業では、カフェなど自分がリラックスできる場所で仕事をした方が生産的であるという純粋にビジネス上の理由から、出社をルール化していない企業もあり、この流れは今後加速していくことが予想されます。

となれば、もはや「仕事は社内でしなければいけない」というのは私たちの思い込みに過ぎないのかもしれません。このように「家でも仕事ができる」という観点から、ひきこもりでも仕事に就けると言えます。

はたして「社会」とは何か?

また、別の角度からもひきこもりと仕事について考えてみたいと思います。 まず、よくひきこもりからの脱出や「社会」復帰といわれますが、そもそもこの場合、私たちが指す「社会」とは一体何でしょうか?社会復帰というと、「誰とでも円滑にコミュニケーションがとれ、学校や会社に通える状態になること」のように思われがちです。しかし、ひきこもりであろうとなかろうと、誰とでも円滑にコミュニケーションができて、どの学校・会社に入ってもうまくやっていける人なんて現実的にほとんどいませんし、もっと言えば、そのようになる必要はないようにさえ思います。誰とでも円滑にコミュニケーションがとれるということは、誰にでも合わせることができるとも言えますが、誰かに合わせ続ける必要なんて本当はないはずです。あの人とは気が合うけど、あの人は苦手だから距離を取る。あの人と一緒にいると楽しいけど、あの人にはできるだけ会いたくない。このような態度は「社会」に生きる私たちにとって極めて普通のことです。もちろん、ひきこもりからの脱出や「社会」復帰の場合も同じように考えていいのです。

また、「社会人」というと日本ではサラリーマンのことがイメージされますが、英語にはそもそも「社会人」という単語は存在しません。日本語の「社会人」が実質的に「会社員」のことを指しており、英語に「社会人」という単語がないというところに本質があります。本来「社会」や、そこから派生する「社会人」「社会復帰」というものは、かなりあいまいな概念なのです。

辞書で調べてみると、「社会」とは「人が集まって生活を営む、その集団」と定義されています。その意味ではたしかにA社にはA社の「社会」があり、B社にはB社の「社会」がありますが、C大学に所属している学生にもC大学の「社会」があります。もっと言えば、D高校やE中学校、F小学校にも、あるいは地元の友達、幼なじみ、近所付き合いの中にもそれぞれの「社会」はあります。このように考えてみると、「社会人」の定義を「会社員」としてしまうことは、大きな誤りと危険性をはらんでいることがわかります。

それは、自分が所属している先が学校であろうと会社であろうと、あるいは、必ずしもどこかに所属していなくとも、人が集まればそこに「社会」が成り立つという考えが抜けてしまうことです。この柔軟性のなさは、「会社員」として生きていくことが立派な「社会人」で、そこからはみ出した者は「社会人ではない」という強迫観念が生まれる素地となります。ひきこもりからの「社会復帰」という言葉が妙な切実さを帯びてしまうのも、このように「社会」のとらえ方に柔軟性がないことに起因します。

本当は、集団のメンバーが異なれば、それに付随してそこの「社会」も異なってくるはずなのです。例えば、A社では全く人間関係がうまくいかずつらかったけど、B社に転職したら水を得た魚のように仕事が楽しくなったという話もありますし、C高校ではどうも気が合う仲間に出会えず、高校を辞めてバイトを始めてみたら趣味つながりで友達ができたなど、「社会」の実態は多種多様なのです。多様な「社会」の存在を柔軟な態度で認めることは、「社会復帰」の第一歩だと考えます。

ひきこもりの社会復帰支援というと、ちゃんと仕事に就けるように「どの社会にも適応できるように」コミュニケーション・スキルなどを指導したりすることが多くなってしまいますが、もっとシンプルに「自分にとってハマりやすい社会」を見つければいいだけのことではないでしょうか?

鳥は海の中では飛べませんし、魚は空の中では泳げません。もちろんワガママだけで通用する社会はどこにもないのですが、無数にある社会の中から「自分に合う社会」を見つける方に力を注いだ方が、ひきこもり脱出や社会復帰が早いのは明らかです。

また、仕事に就いてからひきこもりに戻るという可能性も、無理して自分を変えて就職したケースと比べて少ないでしょう。ひきこもり状態から脱出し、社会復帰をするために自分を無理して変えるのではなく、自分が無理せずあてはまる「社会」を探す方向にエネルギーを費やす。マイルストーンはそのためにひきこもりの子がどのような強みをもっていて、どのような社会に当てはまりやすいか、常にアンテナを立てながらお子様に接していきます。

以上、テクノロジーの発展による「働き方の多様性」と「当てはまる社会を探す」という2つの観点から「ひきこもりの将来と仕事」を考えていきました。ご参考になれば幸いです。