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「脱ひきこもり」お役立ちコラム

うちの子はゲーム依存症?①

松隈 信一郎(医学博士)

福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中より従来のカウンセリングではない、ポジティブサイコロジーコーチング(PPC)による不登校・ひきこもり支援の可能性を見出す。その後、一般社団法人ストレングス協会を設立。10代、20代の若者に特化した訪問支援と教員・保護者へのPPCの教育を通して、世界中の青少年が希望をもてる社会の実現に向けて活動を続ける。著書に『「強み」の見出し方』(「月刊精神科」2017年7月号)等。

 

2019年5月にWHO(世界保健機関)が「ゲーム依存症」を疾患として認定しました。このニュースは不登校やひきこもりのお子様をもつ親御様にとって、どのような意味をもつのでしょうか。「日常生活に支障が出ている」という症状から見ると、おそらくゲームを長時間している不登校やひきこもりのお子様をもつ親御様からすると「うちの子も依存症じゃないかしら」とご心配になることは当然だと思います。

 

個人的には、例えば30歳以上でゲームばかりして、課金をして生活ができない程の状況になってしまっているのであれば、ギャンブルのように「依存症」として治療行為をしていくことは重要だと思いますが、このなんでもかんでも「病気」にすればよいという風潮はどうにかならないんですかね・・・とついつい思ってしまいますが、そう言ったところでどうしようもないので、現実的に親御様に考えて頂きたいポイントを述べると、主に3点あります。今回はその一つ、「時間を決めてみる」ということについてお話したいと思います。

 

時間を決めて、その時間以上ゲームをしないか?

 

まずは不登校やひきこもり状態のお子様と一体、1日に何時間ゲームをすればいいのかを話し合い、時間を決めてほしいと思います。ここでのポイントは「話し合い」です。一方的に押し付けた「きまり」は、「勝手に決められたことになんで従わないといけないの」と逆ギレの元になりますので、お互いが話し合った上で決めて欲しいと思います。もし、そもそも話し合える状態でないのであれば、「ゲーム依存症ではないか?」と「お子様本人だけの問題」にしてしまうのではなく、家族の関係性の問題になってきますので、ここでは割愛しますが、(※会話ができない状況であれば、保護者支援を通して、親御様も関わり方を変えていく必要があるかもしれません)お子様とゲームの時間を一体何時間すれば気が済むのかを話し合って決めてほしいなと思います。その際に、ゲームを本当に好きでやっている時間と、他にやることがないので時間を潰すためにやっている時間がある点について言及してください。そして、「ゲームを本当に好きでやる時間」が何時間必要なのかを話し合う方が、お子様にとっても納得感が増す話し合いになると思います。

 

そして、実際にお子様がその時間でゲームを止めた時、止めたことに対してではなく、ちゃんと約束を守ったことについて誉めてあげてほしいなと思います。誉めるといっても、「えらいね~」とかではなく、「ちゃんと言った通りのことやっているね」と「ちゃんと見ているよ」という承認をしてほしいなと思います。そうすることで、お子様の中で「自分の行動は自分でコントロールできる」という感覚(ローカスオブコントロール)を高めるきっかけにもなります。よく親御様は仕事に出ていて、日中、彼らが家で何をしているかも分からない中、私たちはどうしても、その時に見たことが全てだと捉えがちです。(例:帰宅後にゲームをしているお子様の姿を見た時に、具体的に何時間しているのかを考えずに「もう一日中やっている」と捉えてしまいがちになりますよね)

あるご家庭では、約束した時間が8時間とか9時間でしたが、この声がけを丁寧にしていきました。そして、ある日、6時間で終わった時があり、「あれ?あと2時間していいのよ」と親御様が声かけしたところ、「いや、今日はもう飽きたから」という呆気ない返答だったというのです。つまり、ここで何が言いたいかというと、ゲームを長時間やっていることと依存症であることは必ずしもイコールではないということです。約束した時間を過ぎてもずーっと止められないという状況かどうか、まずは基準となる具体的な時間を設定してお子様の状態を観察してみることはいかがでしょうか?

 

勿論、大阪府で睡眠教育をしたところ、不登校が改善されたという報告もあり、長時間のゲームはお子様の心身の健康を損なう原因にもなりますし、ご心配であれば病院で診断してもらうことも重要だと思います。一方、お子様本人は依存症ではないという自覚があるにもかかわらず、病院に無理矢理連れて行くと、10代・20代の「脱ひきこもり」の生命線であるお子様と親御様との信頼関係に支障がでる可能性があります。ニュースで騒がれているから、一足飛びに「うちの子は病気だ」とご判断される前に、一度、ぜひ具体的な時間を設定されることをお勧めします。