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「脱ひきこもり」お役立ちコラム

うちの子には良いところがない。

不登校やひきこもりのお子様でお悩みの親御様よりお問い合わせを頂く際、お子様の過去にあった出来事について詳細にご教示頂けることがあります。通常、親御様からお子様の不登校やひきこもりの状況や性格的なことをお伺いして、お子様ご自身の了承を得、最初の無料面談に伺うのですが、この訪問支援を続ける中で、あることに気付いたのです。それは事前に親御様から伺ったお子様情報と不登校やひきこもり中のお子様ご本人から伺う情報に違いがあるということ。勿論、お子様の不登校やひきこもりのことでお悩みであるからご連絡を頂くのですが、往々にして親御様から頂くお子様情報は、彼らの短所について書かれたことばかりであり、彼らの長所に関しての情報がほとんどありません。その親御様から頂いた情報をもとに「どんなすごい子なんだろう・・・。」とビクビクしながら訪問するのですが、実際に会ってみると、全然、普通の子じゃないかと思うことがよくあるのです。目を見て話してくれるし、頷いてくれるし、「あれ?」と拍子抜けすることが実際にはよくあるのです。

 

この違いに気づいてからというもの、よく不登校やひきこもりのお子様に「ここに来る前にざっくりと親御さんから君のことを聞いて来たんだけど、親が思う君と、君が思う君って結構違うことがよくあるんだけど、どう思う?」と尋ねると、十中八九、「うん」と返ってきます。中には、ずっと物静かな子だったのですが、その質問の時だけ「ニヤッ」とした表情を浮かべる子もいました。

 

心理学の分野では「確証バイアス」という人の心理機能を表す言葉があります。簡単に言うと、「自分が信じていることの根拠となる情報のみ、人は無意識に選んでいる」というバイアス(偏見)であり、例えば、「自分はダメだ」と信じていると、「勉強が出来ない」とか「ニキビがある」など、自分がダメなことを証明する情報ばかりを無意識に選びとり、一方、信じているものと反するもの、つじつまが合わないものは無意識にスルーしている心理的機能を言います。

 

もし親御様が「この子には問題がある」と信じていると、親御様の脳は全力でその問題を証明するための根拠を探します。そして、お子様の過去や現在の「良いところ」には、親御様自身の意志に反して、無意識のうちに勝手にスルーするようになっているのです。ですから、親御様にとって「この子には問題がある」ことは、実は一つの側面にしかすぎないのに、それが「真実」となってしまうことがよくあるのです。これは何も親御様が悪いというお話ではなく、人間である以上、誰しもがこのようになる傾向があり、この心理機能を理解しておかないと「現実」に対して適切な対応が出来なくなると思うのです。

 

MILESTONEでは不登校やひきこもりのお子様とお会いする際、必ず心の中で「この子の良いところはどこなんだろう?」と十数回つぶやいた後にお会いします。そうすることで今まで見過ごしていた彼らの「プラスの情報」に気づけることが出来るからです。「この子は大丈夫だ」と意識的に信じ込もうとすると、脳が勝手にその根拠を探し始めます。そして人は困難な状況から脱出するためには、実は問題探しをするよりも、自分のプラス面を活かした方が早いので、彼らのプラスの情報を得ることが非常に重要なのです。

 

今、目の前には、ずっと寝たままのお子様の姿があるかもしれません。ずっとスマホで動画を見て一日過ごすお子様の姿があるかもしれません。でも、敢えて「この子は大丈夫」という言葉を、気持ちはこもってなくても構いませんから、ぜひご自身の中で呪文のように唱えてみてください。これまで見過ごしていた情報に気付くことがあるかもしれません。そして、その気づいた彼らのプラスの情報こそが、不登校やひきこもり脱出のカギとなるでしょう。。

 

 

松隈 信一郎

1986年福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて、幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中、知人よりひきこもりの子どもの訪問支援を依頼され、試行錯誤しながら面談を実施していく中、長年ひきこもっていた子達が活力を取り戻し、行動し始めたことから、従来のカウンセリングではない、ポジティブサイコロジーによるひきこもり脱出支援の可能性を見出す。その後、MILESTONEを立ち上げ。10代、20代の若者に特化した訪問支援を通して、世界中の若者たちが人間らしい喜怒哀楽を享受する社会の実現に向けて活動を続ける。日本ポジティブサイコロジー医学会事務局、米国GALLUP社人材開発コンサルタント兼任。