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「脱ひきこもり」お役立ちコラム

【コロナ特集】家族全員が揃い、息苦しい方へ

松隈 信一郎(医学博士/公認心理師)

福岡県出身。慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程にて幸福感や強み等、人間のプラス面を科学するポジティブサイコロジーを研究。在学中より従来のカウンセリンではない、ポジティブサイコロジーによる不登校・ひきこもり支援の可能性を見出す。その後、一般社団法人ストレングス協会を設立。10代、20代の若者に特化した訪問支援と教員・保護者へのポジティブサイコロジーの教育を通して、世界中の青少年が希望をもてる社会の実現に向けて活動を続ける。著書に『「強み」の見出し方』(「月刊精神科」2017年7月号)等。

 

新型コロナ感染症の拡大により、首都圏を中心に全国規模で緊急事態措置が発令され、家族全員が揃い、ひとつ屋根の下で生活する機会が増えていると思います。この新型コロナ感染によって、あるご家庭では「家族とゆっくり過ごす時間が増えて、ある意味よかった」と前向きに捉えて、家族との時間を大切にしようとするご家庭もあれば、一方、家族揃って一つ屋根の下で長時間いることに窮屈さを感じるご家庭もあることかと思います。特に不登校やひきこもりのお子様をもつご家庭で、そもそも、親子関係や夫婦関係があまりよくなかったご家庭であれば、これまで以上にストレスが溜まっている状態になっているかもしれません。「息子のことだけでも、もう手一杯なのに、なんで旦那の面倒まで見ないといけないのよ」と頭を抱えていらっしゃるお母様もいらっしゃるかと思います。

 

これまでの家族の歴史があるため、新型コロナ感染を機に時間ができた分、ちゃんと話し合って解決しましょうと言える程、単純なものだったら苦労しません。家族と言えども関係が悪い人と一緒に過ごす時間が多くなればストレスも溜まっていきます。外の空気を吸って気分転換でもと思っても、外出自粛の中、外で時間を潰せる場所もなく、八方ふさがりになられている親御様もいらっしゃるかもしれません。

 

もし今、このような状況の親御様がいらっしゃれば、これまで以上にご自身のご友人に連絡を取ってみてほしいと思います。学生時代のご友人でもママ友でも職場で仲が良い同僚でも、意図的に時間を作って、電話やzoomでお話することを強くお勧めします。今、コロナで全国民が同じ経験をしているからこそ、「体調は大丈夫?最近どうしてる?」と旧友や連絡が途絶えていた方とも、これを機に是非、「家族」のことではなく、気の知れた仲間と何気ない話をして頂けたらと思います。人は人によって癒されます。外出自粛の家庭内で八方ふさがりになっている時こそ、外と繋がることを意識してほしいと思います。

 

また、不登校やひきこもりのお子様をもつ親御様でよくある話なのですが、これまでお子様のことでご夫婦間で言い争いを繰り返してきたというケースもよくあります。「あなたが家で面倒見ないからでしょ!」「いつも家にいるくせになんで言うこときかせることができないだ!」エトセトラ・・・。不登校やひきこもりのお子様のことで、お互いの意見や見方の食い違いによって、ついつい、お子様の話になると言い争ってしまうということをよく耳にします。我が子のことであるため、どうしても感情的になってしまうのも自然なことですよね。今回、在宅勤務や夜の外出自粛等により、家でお子様のお話をする機会も自ずと増えてくると思います。会話にならないというケースもあるかと思いますが、第三者の私からみると、お父様、お母様とも共通の目的(自分の子どもが自立して幸せになってほしい)をもっているのが顕著に伝わってくるのです。共通の目的をもっていながらも、お互いがタッグを組むのではなく、孤立して、別々に辛い思いをしている状態になっているのかもしれません。それぞれが真剣に考えて自分自身が考え得る最善の方法を試している、にも関わらず、うまくいかないため、お互いが別々に落ち込んだり、苛立ったりしてしまっている状態なのかもかもしれません。もし、夫婦間でお話できる環境にあるでしたら、不登校やひきこもりのお子さんの今後については、ひとまず横に置いといて、先ずは、ご自身も含めて、お互いを一緒に労って頂きたいと思うんです。「お互い、よくここまでやってきているよね」とまずは労うことから始めませんか?お互いが疲れ切っているケース、本当によくあるんです。お互いに「お疲れさん」を言えた時、お互いがもつ「目的」が共通していることに気づかれるかもしれません。お互いを助け合うタッグチームになるために、まずは「労いの言葉」をかけてみるのはいかがでしょうか?

 

さらに、不登校やひきこもりのお子様と親御様間の人間関係があまりよくない場合、在宅勤務になってお子様が一層部屋から出てこない、もしくは、何か食事の時間がいつもよりも緊張状態にあるといったこともあるかと思います。勿論、こんなに長い時間、家族が一緒に過ごす機会というのは多くの場合、ほとんどなかったことだと思いますので、これを機に問題解決を・・・と思いがちですが、私はここは「休戦」を宣言されることをお勧めします。「この時期を機に問題解決しよう」「休校の間に今、追いつかせよう」と親御様が意気込めば意気込むほど、お子様は敏感に感じ取りますので逆効果に働くことが多いです。「今、世の中は緊急事態だけど、私にとっては平時の方が緊急事態」とうまいことを言ったお子様のお話を伺いました。この外出自粛によって、かなり心は安定している不登校や引きこもりのお子様が多い感覚を私はもっています。だからこそ、前回のコラムに書かせて頂いた通り、何気ない会話をすることを心がけて頂きたいなと思います。新型コロナウイルスが終息するにつれて、益々、オンライン授業が市民権を獲得していく時代に変わっていくと思います。それに伴い、新型コロナ感染が終息を迎えるにつれて、「不登校」という概念が無くなっていくんだろうと予想していますし、「学校に行けない」だけで「自分の人生は終わった」と自己肯定を下げる子も少なくなるんだろうと予想しています。キッカケがパンデミックというのは皮肉ですが、そういう世界が一刻も早く到来する日を願っています。「今、抱えていらっしゃる問題が、ポストコロナ時代には問題でなくなる」ということも大いに考えられますので、少し、休戦されてみてはいかがでしょうか?